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● 「切り札」井上康生で結果出なければ… どうなる日本柔道


柔道の日本代表男子監督に就任した井上康生氏が早速、週末の全日本体重別選手権を視察した。

2000年シドニー五輪100キロ級金メダリストの井上氏は34歳、

04年アテネ五輪100キロ超級金メダリストでコーチに就任した鈴木桂治氏は32歳。

ともに、選手としては申し分ないキャリアの持ち主だが、指導者としては若すぎはしないか。

20年の東京五輪招致に成功すれば、井上氏は代表監督の「切り札」とみられていたが、

この人で結果が出なければ、日本柔道はどうなってしまうのか。危惧が隣り合わせの就任でもある。

ロンドン五輪の金メダル0という歴史的惨敗にもかかわらず、

男子は篠原信一前監督の続投でほぼ決まり、といわれてきた。

実際、10月末には世界団体選手権(ブラジル)も篠原体制で臨んでいる。

しかし、篠原監督は決勝のロシア戦で審判が「待った」をかけた間以外、

セコンドは指示できないルールを破り大声を出して退場、観客席からも大声を出して、また退場させられた。

カーテンの隙間から試合を見ていたそうだが、まるでマンガ。こんな恥をかいては辞任せざるを得ない。

「篠原さんは練習でも思うようにならないと罵声を浴びせ、

選手を萎縮させるなど監督不適任の声は早くから聞こえていた。

本来なら昨年の世界選手権重量級惨敗で責任をとるべきだった」との関係者の声も聞いた。

それで井上氏というわけだが、切り札へのつなぎ役の人材さえいないとは寂しい。

ラグビーで平尾誠二氏が現役を引退した翌年の1997年、34歳の若さで日本代表監督に就任したのを思い出す。

95年W杯ニュージーランド戦での「145失点ショック」の癒えない日本ラグビー界待望の切り札だった。

早速、無名選手を発掘する「平尾プロジェクト」を立ち上げるなど精力的に動いたが、笛吹けど踊らず…。

99年W杯も1次リーグ全敗で解任の憂き目にあった。期待が大きかっただけに、失望もまた大きかった。

井上新監督は「一本を取りに行く柔道は変えない。

いかに組むか、いかに一本を取りにいく過程を作るか」と語った。

2年間の英国留学で海外の指導法も研究。時代に合ったトレーニング方法は熟知しているはずだ。

しかし、外国はいかに日本に組ませないかでさらに上をいっている。

井上監督をもってしても4年後のリオデジャネイロ五輪で結果が出なければ、

ラグビー同様、恥を忍んで外国人に監督をお願いするほかない。

“最後の日本人監督”にならないよう祈るばかりだ。






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