柔道ニュース



● 柔道「必修化」7カ月 安全対策 後手のまま



今年四月から中学校の体育で柔道など武道が必修化され、多くの学校で二学期から授業が本格的に始まった。

だが、授業は年間でわずかに十数時間。

それで武道が身に付くかは、はなはだ疑問で、移行期の昨年には初心者同士が柔道の模擬試合をして、

重傷を負った事故もあった。必修化の問題は以前から指摘されていたが、対策は後手に回っている。  

今年一月、川崎市の中学校で柔道の授業中に重傷事故が起きた。

当時、中学一年生の男子生徒が試合形式の「乱取り」で同級生に大外刈りをかけられ、首と後頭部を強打。

二人の体重差は二十キロ、身長差は十センチあった。

男子生徒は、脊髄から髄液が漏れて頭痛などに悩まされる「脳脊髄液減少症」と診断され、

現在も学校を休みがちになっている。

同校では、必修化前の移行措置で昨年度から男女全員が柔道を学んでいた。

事故は年間十二時間の最後の授業中。有段者の体育教師が指導していた。

生徒の母親(42)によると、校長は「学習指導要領に含まれているため試合形式でやった」と説明。

「安全配慮が足りなかった」と責任を認めて、謝罪したという。同校は事故後、大外刈りと乱取りを禁止。

体格差の考慮など独自の安全対策を打ち出した。

川崎市教委も、一年生対象には乱取りで後頭部を打ちやすい大外刈りと小内刈りを禁止するなど、

独自のルールを各校に通知した。

また、今月上旬には、市内で中学校の体育教師を対象に柔道の実技講習会を実施した。

だが、それでは付け焼き刃にしかすぎない。

参加者の一人で、柔道を教えている男性教師(39)は

「一年生には大外刈りを教えないことにしている。それでも、受け身の練習で頭を打つ生徒がいる。

指導には不安がつきまとう」と話す。

 



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