●「日本は柔道をJUDOに変えるべきではない」
ウズベキスタンの元銀メダリストが直言
五輪惨敗の原因は別にある
ロンドン五輪で金メダルなしと惨敗した日本男子が「JUDO」に対抗すべく変わろうとしている。
全日本男子の井上康生新監督(34)は「一本」を追い求める日本のスタイルを貫くと
前置きしたうえで、「世界の柔道は格闘技を取り入れているのも確か」と
ロシアのサンボなど世界各国の格闘技の技術を積極的に導入し、
ポイント稼ぎを重視する「JUDO」への対応力を磨こうとしている。
世界の柔道界はこれをどう見ているのか。
ウズベキスタンの元柔道選手で、アトランタ五輪銀メダリストのアルメン・バグダサロフ氏
(現国際柔道連盟スポーツディレクター)を直撃した。
――ロンドン五輪で日本男子は歴史的惨敗を喫しました。
日本は柔道スタイルを変えるべきでしょうか。
「いえ、変えるべきでないと私は思う。僕らは日本の柔道を尊敬していますし、
むしろ世界のJUDOは日本の柔道に近づいていると思います。
ロンドン五輪での結末は国際的なルールや、JUDO独特の戦い方が原因ではないと思っています」
――と言いますと?
「五輪では、男子60キロ級の平岡拓晃がガルストヤン(ロシア)に
奇麗な投げ技(外巻き込み)で一本負けしました。
原因は明らかに下半身の弱さです。
男子66キロ級の海老沼匡も準決勝でシャブダトゥアシビリ(グルジア)に(隅返しで)
一本負けです。これも同じ。
下半身にタックルしたり、いきなり抱きつくといった行為は見られなくなっている。
むしろ(外国人選手は)まっすぐ立って戦っているじゃないですか」
――今、井上監督は柔道に他の格闘技を取り入れようとしています。
「実は私も指導者の時に同じようにサンボなどを取り入れて練習したことがあった。
しかし結果はダメでした。日本はお家芸ということもあって、
周りから過度の期待やプレッシャーがあるでしょう。とはいえ、
短いスパンで起こったことにとらわれず、もっと長期的なスパンで見るべきです。
これだけ負けたのも今回だけでしょう? いい時も悪い時もある。それがライフですから」
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