● ニッポン柔道に早くも黄信号!? 技より力重視のルール改訂
井上監督は新ルールにどこまで対応できるか
国際柔道連盟(IJF)は、来年2月のグランドスラム・パリ大会から試験導入する
新ルールを発表した。
主な改訂項目は、相手への連続攻撃や返し技のみに認められた「脚取り」の禁止や旗判定の廃止。
5分間で決着しない場合に行われる延長戦を時間無制限、抑え込みを20秒で一本に変更する。
中でも脚取りの禁止は、ロンドン五輪で金メダルゼロに終わり復活を期す
日本男子に影響をおよぼしそうだ。
寝技以外では相手の下半身に手で触れることが不可能となり、肩車やすくい投げが消滅するからだ。
2日まで行われたグランドスラム東京大会では、60キロ級の高藤直寿(東海大)が肩車で優勝。
井上康生監督も「今までの柔道では苦しい。大幅なモデルチェンジが必要」と話している。
すでに、タックルなど下半身を直接攻撃すれば即反則負けとするルールは
2010年から導入されている。
同大会でも、パワーで圧倒してきた外国勢に寝技が増えるなど、対応の跡がうかがえた。
脚取り禁止は、正しく技をかけ攻撃的な柔道を促すためのものだが、
全日本柔道連盟の川口孝夫審判委員長は「内股のかけ放題になる」と、
技よりも力重視の傾向が強まることを懸念。
岡田弘隆審判副委員長も「脚取り禁止が国内外のコーチ陣を惑わせている。
競技が発展する中で技が増えるのは自然の流れだが、減っていくことに違和感を覚える」と指摘した。
ロンドンでは、一本勝ちにこだわるあまり“国際ルール”に適応できなかったことが、
日本惨敗の要因とされた。
もはや柔道は日本の国技という位置を離れ、競技としての「JUDO」となった。
早急に対応できないかぎり、リオデジャネイロ五輪も“お家芸再興”は難しい。