● 脚取り禁止の新ルールに対応 全日本女子が合宿公開
柔道の全日本女子は20日、東京・味の素ナショナルトレーニングセンターで行われている
強化合宿を公開した。来年から脚取り禁止などの新ルールが試験導入されるため、
選手やコーチ陣は対策に追われている。
新ルールでは、足技からの連係で相手の脚を取る行為、
相手の大技を防ぐ際に脚を取る行為が反則負けになる。
48キロ級で世界選手権2連覇中の浅見八瑠奈(コマツ)は
「組み手を(左右)2つ持って一本を取る技を身につけたい」と組み手の練習に余念がなかった。
*新ルール対応「悲観こそ敵」
脚取りを攻めにも守りにも使いこなす浅見は、新ルールへの対応に渋い顔だ。
「体に染みついた動作が、無意識に出るんじゃないかと不安です」。
当面は「組んで勝負」と強く念じ、フィニッシュブローの背負い投げに磨きを掛ける。
国際柔道連盟は来年1月中旬、2度に分けて各国の審判を集めた講習会を開く予定。
全日本女子は講習会に参加した審判に立ち合いを依頼し、
新ルールを適用したテスト試合を1月中に行う。
ケースに応じた具体的な新ルールの適用を、選手に情報提供する考えだ。
新ルールには細かい動作の規制もある。
相手に奥襟を持たれたとき、両腕を使って振りほどく行為が指導の対象に。
組んだ者勝ちということになり「長身の選手、腕力のある選手が有利。小さい人ほど厳しい」と
上背のない浅見は懸念する。
戦う前から表情を曇らせる選手たち。
だが園田隆二監督は、体さばきの技量に勝る日本勢にこそ利があるという。
「今までは組み手を持たせてくれない柔道だった。これからは組み、攻める柔道になる。
日本に損のないルール」。むしろ思い込みに近い悲観論こそ、選手の敵だと案じている。