● 震災被害の磯原郷英高柔道場、移設始まる 茨城
苦難の練習…来春新道場に
東日本大震災で床面が最大50センチも傾き、
一時は使用できなくなった北茨城市磯原町の県立磯原郷英高の柔道場が耐震化とともに、
軟弱な地盤を避けて校庭を200メートル移動する引き舞い工事に入った。
被災後、アスファルトの駐車場で運動靴を履いての立ち稽古や、
近くの市立磯原中学校格技室での「出稽古」だったが、
震災から2年を経た来春、床面にスプリングが設置された新道場として復活することになった。
県内最大の被災地となった北茨城市でも、海岸近くの高台に立つ磯原郷英高。
体育館の天井板は落下し、窓ガラスが破損して床は波打つ被害を受けた。
中でも校庭東端に建つ柔道場の東側斜面の法面が崩れ、建物は基礎部分が沈下、
最大50センチも傾く状態となった。
東側高台斜面に建つ柔道場は建物修理だけでなく、
地盤のもろさから西側約200メートルの体育館脇に移築されることになり、
公共施設では珍しいレールの上にジャッキアップして移動させる
「引き舞い」工事が採用されている。
県北地区の柔道強豪校として知られる同高柔道部には現在男子14人、女子6人が所属。
今年夏以降は地盤の安定している建物半分の西側のみで練習を重ね、
秋の県大会新人戦では決勝でつくば秀英と対戦。
団体戦は1勝2敗2引き分けで惜しくも全国への切符を逃したが、大健闘だった。
顧問の木川大蔵(たいぞう)監督も「狭い道場での練習でよくやった」と大会を振り返る。
柔道場の移築で再び「出稽古」となるが、「冬場は走り込んでの基礎体力作り中心」となる。
県内強豪校の仲間入り、有望選手の入学希望、
そして新年度から新道場での練習もできるようになる。
男子主将の関根大周君は「来年は県大会で優勝して『(高校総体開催地)福岡へ行こう』が
部員の合言葉です」と頼もしい。