● 全国中学校体育大会 柔道男子団体で小野が初V
団体戦に懸けた選手たちの執念が、結実した全国制覇だった。
8月の全国中学校体育大会の柔道男子で初優勝した小野。
「チームのために」と脇役が努力で急成長を果たし、けがをしたエースは強行出場で役割を果たした。
5人一丸でつかんだ栄冠だった。
準優勝した昨年の自信と悔しさが、出発点になった。
「やらされる練習ではなく、自分たちからやるように意識が変わった」と宮城主将。
部活動の後にも各自が地元の道場などに出稽古に向かい、貪欲に汗を流した。
しかし今春、エース格の松井が国際大会で右膝の前十字靱帯(じんたい)を断裂した。
周囲は離脱を覚悟したが、松井は「手術をしたら夏に間に合わない」とそのまま出場することを決意。
個人戦出場を取りやめてまで団体戦一本に懸けた。
松井の気概に結束はさらに固まり、迎えた全国大会は「今までにないぐらい一つになっていた」と管野監督。
決勝で前年覇者の国士舘(東京)を4‐1で圧倒するなど、すきがなかった。
松井と長井の大黒柱2人に加え、残り3人の底上げが大きかった。
「先輩に迷惑をかけたくない」と懸命に稽古を積んだ2年生藤原は、個人81キロ級で優勝。
東部は「団体戦で大きい選手に対抗できるように」と食事量を増やして体重を15キロ増やし、
個人90キロ級で準優勝を果たした。
悲願の団体優勝に涙した松井は「みんなのおかげで、安心して柔道ができた」とチームワークを強調した。